設計事務所のつくる住宅〜スキップフロアー2 2010.12.03 設計事務所のつくる住宅 今回も、「スキップフロアー」について、少し書きたいと思います。 前回書いたように、「スキップフロアー」というと、一つの空間の床に段差をつけ、それぞれの用途に分けたり、空間に立体感を出す、場合が多いのですが、私は、2階の床を「スキップフロアー」にし、1階の空間に変化を持たせる、という事も行います。 前回も、少し書きましたが、2階の床を上げる事で、1階の天井を高くする事が出来ます。 上写真の梁(横に通っている材木)の位置が、本来の2階の床の高さです。 通常、吹き抜けというと、1階の床から、2階の天井までが、その空間の天井高さになります。約2階分の天井高さです。 この写真の空間は、1階の床から、2階の床+80cm程度の天井高さになります。約1.3階分の天井高さです。 つまり、吹き抜けを途中で止めて、吹き抜けの上にも居室をつくるのです。 これにより、1階の空間は開放感が上がり、2階の空間はスキップフロアーにより、空間に変化が出ます。 間#08は、これを利用し、開放感を出すと共に、吹き抜け部の開口部から入る光をより奥まで取入れられる様にしました。 先ほどの写真の中央部にあるブリッジを、2階床から見た写真です。ブリッジの左右下部は1階吹き抜けです。 左右で吹き抜けの高さが違うのが、お判り頂けるかと思います。 写真右側は、吹き抜けの上に納戸を、左側は吹き抜けの上に書斎を設けました。 上写真は、書斎に行く為の階段です。 この書斎は、他の2階の居室より床が上がっているため、外の景色の見え方も違い、展望台のような雰囲気が有ります。 書斎については、別の機会に書かせて頂こうと思います。 このように、スキップフロアーを利用する事で、空間に変化を持たせ、限られた大きさの中で、その空間を最大限利用する事が出来ます。 しかし、スキップフロアーがすべての方に合うとは思いませんし、どなたにでもご提案する訳では有りません。 スキップフロアーにする事で起こるデメリットも有ります。 最も大事な事は、住み手の求める「ライフスタイル」で有り、スキップフロアーは、その「ライフスタイル」を実現する為の一つの手段・方法だと思います。 「スキップフロアーが欲しい」という御要望よりも、「そこでどんな時間を過ごすのか」と言う事の方が大事だと思うのです。 「過ごしたい時間」の為に、スキップフロアーよりも、良い手段・方法が有るかもしれないからです。 「住宅」を御検討する際には、何が欲しいか、よりも、何をしたいか、をご検討頂くと、より「良い住宅」が出来上がると思います。