設計事務所のつくる住宅〜スキップフロアー1

私は、空間計画の中で、「スキップフロアー」を採用する事が有ります。
スキップフロアーは、一般的に、敷地に段差が有る場合、それを解消する為に用いられる事が多いのですが、それ以外に、一つの空間の床に段差をつけ、それぞれの用途に分ける時に採用します。
間#10では、居間・食堂・台所に採用しました。

普段の生活の中で、人は、台所では立って、食堂では椅子に座って、居間ではソファーや床に直に座って、過ごす事が多いと思います。自然と目線は合わなくなります。それぞれのスペースにいる人がコミュニケーションがとり易くなるように、視線を合わせる事を考えました。
そこで、それぞれの空間の配置とともに、床のレベルを検討し、「スキップフロアー」を採用しました。
居間と台所の段差を40cmにする事で、立っている人とソファーに座っている人の目線が合うようになります。配置は、家事動線を考慮し、台所から横に移動すると食堂に、台所の正面に居間、という配置にしました。又、床の段差部には間口・奥行き共に通常より大きな階段を設け、ベンチとしても利用できるようにしてあります。
間#10では、これ以外にも「スキップフロアー」を利用しています。
台所から1.8mの所に「もう一つの居間」を設けました。
この空間は家族でくつろぐ為のスペースとして考えています。

上の写真の開口部分が「もう一つの居間」になります。
本来ならば2階に位置するのですが、こちらは段差を少なくする事で、1階との繋がりを持たせました。

上の写真が、「もう一つの居間」から見た写真です。
実際には、もっと近くに台所・食堂を感じられます。
この空間を、2階に設けてしまうと、1階との繋がりが薄くなり、あまり使用しない部屋になってしまいがちです。使用頻度を上げる為に、1階から違和感無く移動できるようにし、視線や声による1階との繋がりを持たせました。
この他に、2階の子供室の床を上げることで、1階の居間の天井を高くし、開放感を持たせる事も可能です。

間#10は総二階の建物の容積の中に、6層の床面を構成しています。それにより、1階と2階が緩やかに繋がり、「一つの大きな空間」の中に生活しているという住宅を設計しました。
この他にも、「スキップフロアー」を利用して、空間に変化を持たせた事例がいくつかあります。
それは、又、次回にご紹介したいと思います。